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幼児期に効果的なスポーツ指導方法についてのお話。

幼児期に効果的なスポーツ指導方法についてのお話。

ヒトは、幼児期から始まる「遊び」を通して多くの学びを得ます。上手に「遊ぶ」ことによって心身ともに重要な発達の課題をクリアしていきます。

巷では、練習を「させる」といった大人が方向づけたような形による外から与えられたモチベーションよりも、「これを、やってみたい!」という子どもが主体的に選んだ選択のほうがモチベーションとしては、何事も長続きするといわれています。

練習を「させる」といったような他者(この文脈の場合、大人)が方向づけたような外から与えられたモチベーションを「外発的動機付け」と言います。他方で、自発的に進んで「これを、やってみたい!」という本人(この文脈の場合、子ども)の心に自然と湧き上がったモチベーションのことを「内発的動機付け」と言います。幼いころから周囲の大人や指導者があまり手取り足取り教えすぎたり、先々のレールを敷きすぎてしまったりすることは、心身の発達の課題を一つ一つこなしていくうえではあまりお勧めできません。

今回の記事では、幼児期における「遊び」の効能についてご紹介したいと思います。遊びを通して一人一人の子どもが各自の運動機能の発達における課題をクリアしていくうえで必要な事項を、現在大人である皆様に重点的に知っておいていただきたい要点に絞って説明いたします。

外遊びの効能

現在でも「昔は、野山を駆け巡って虫取りをしたものだ」や「川で、食料の調達を兼ねて魚釣りに勤しんだ」といったような、腕白な話を祖父母などから幼いころに耳にしたことがある方は少なからずいらっしゃるかと思います。

とくに第二次世界大戦の戦後間もない時代を生き抜いた方々は、遊びの対象となる行為、遊具自体が不足している中で、日常の些細な部分に「遊び」の要素を見出す能力に長けています。もしも、身近に直接お話を伺うことのできるご老人がいらっしゃる場合は、積極的にお話を伺うと大変良い学びがもたらされます。

さて、話が少しわき道にそれてしまいましたが、外で友達と遊ぶことに関して以前にNHKの番組でその効能が紹介されたことがあります。その番組によれば、外遊びの効能は、次の4つの点に関して、その有効性が確認されました。

チャレンジ精神を育む

子ども達は、幼児期において、乳児期に比べて、より人間らしさにあふれる発達の様子を示します。「子どもは、子どもを見て育つ」と言われるように、子ども達は、他の子ども達をロールモデルにして、我が身の振舞い方やチャレンジ精神を学び取って、心的な自信を獲得していきます。幼児期は「お兄ちゃん(もしくはお姉ちゃん)がやっていることに、私もチャレンジしてみたい!」といったチャレンジ精神を育むことができる時期です。この時期に獲得した心的な自信は、将来的には自分自身に対する確信につながるので、周囲の大人は行動一つ一つに注目するのではなく、その動機を大切にするかかわり方を心掛ける必要があります。なお、幼児期を超えたのちには、ギャングエイジ(9歳以降)と呼ばれる発達の段階が続きます。

ギャングエイジの発達段階においては、「家族と急に話をしなくなる」、「それまで素直だったのに急に言うことを聞かなくなる」などの変化が子どもに見られるようになります。これは、幼児期を離れて、物事をある程度対象化して認識できるようになるにつれて見られるようになるためだと言われており、この発達段階の特徴です。この時期には、集団での遊びにおいて、規則を理解して、主体的に関与したり、また自分たちの集団内における独自のルールを策定したり、「仲間」というものの存在が重要になってきます。

発想力が身につく

「遊び」の場においては、子ども達の天才さがキラリと光ります。「まさか!そんな遊び方があったとは!!」と、思わず感心させられるような新たな遊びを子どもたちは開発します。大人にとってはなんでもないような、「単なる」木の枝、葉っぱ、木の実、石ころなど、「遊び」に用いられる素材は様々です。「ある一つのものを、別の何かに見立てる」というのは、知的想像力を大いに育む有効な手段のうちの一つです。

生活リズムが整い、夜の眠りがスムーズに

子どもは、「心」と「頭」と「体」の三つを同時に駆使しています。ドッジボールに、縄跳びに、かけっこに、と体を思いっきり動かすと、とても良いことがあります。「心」の中から自然発生的に意欲が沸き上がり、「頭」を使って遊び方を創造し、「体」を実際に動かして実践してみるという一連の過程で、いくら「疲れ知らず」の異名をとるような活発な子ども達であろうと全力で外遊びをしたあとは、疲れるときには疲れます。「心」、「頭」、「体」が疲れることによって、夜ぐっすり眠れるようになります。

五感の刺激で感性が豊かに

現代っ子にはあまりなじみがないかもしれませんが、昭和~平成初期においては、「裸足教育」なる教育方式が採用されていました。かけっこをするにしても、上履きを履くにしても、裸足で一貫して学校生活を過ごすという方法でした。足の裏で大地を踏みしめる感覚、風の音、風の香り、四季折々の景色、どれもが子どもにとっては良い刺激となります。また、外で活発に体を動かして活動することによって、体力の向上にもつながります。

まとめ

室内における遊びにも効能はありますが、現代の子ども達は、塾通いなどで屋内にいる時間が長いという事実があります。幼児期からでも始めることができる遊びによって、心と体の発達の課題のクリアすることのみならず、ヒトとして生まれた以上一生涯にわたって試行錯誤を重ねる必要がある人間関係の妙味を体得していけるようになるといいですね。