過去の雑記

【特別寄稿】『おしえるがっこう』開校に寄せて

【特別寄稿】『おしえるがっこう』開校に寄せて

「おしえるがっこう」開校に寄せて

 

『教育とは、子どもたちのために何ができるかという、自らの生き方をかけた大人たちの挑戦に他ならない』

この理念を体現しようとしているのが、スポーツデザイナーけんじお兄さんです。

*「けんじお兄さん」について知りたいかたはこちら

彼が「人生をかけて挑戦しようとしている」そう聞くだけで、胸が高鳴ります。

その自らの人生をかけた挑戦とは

「おしえるがっこう」を作ることです。

 

彼はこの「がっこう」を通して、「楽しく生きる」ことができる人を一人でも増やそうと日夜、東奔西走しています。

「楽しく生きる」ためには、具体的にどうすればいいのでしょうか?

けんじお兄さんは3つの活動を提案しています。

1つ目は「はたらく」ことです。

人生100年時代と言われるようになりました。これまでのように「1つの企業にて定年まで勤め上げて、のんびりと老後を送る」というビジョンを描くことが難しくなりました。オリンピック景気が終了するとともに、大リストラ時代が来るともいわれています。

「自らの働き方を見直したい」「新しいスキルを手に入れたい」「稼ぐ力を身につけたい」
そう考える人が、今後どんどん増えてくることでしょう。

けんじお兄さん自身が、自身の夢であった教育現場で18年働いたのち、40歳にて退職し、「スポーツデザイナー」としての活動を模索したため、「どのように働くべきか」という この問いに対する想いは切実です。

自分に合った働き方を仲間とともに模索する、起業を志す仲間とその方法を学ぶ、まだ働いたことがない学生が、第一線で活躍する社会人と交流する中でリアルな進路を考える……

この「がっこう」は「はたらく」を試行錯誤する、貴重な場となることでしょう。

2つ目は「あそぶ」ことです。

20世紀を代表する歴史学者であるヨハン・ホイジンガは、今から80年前に著書「ホモ・ルーデンス」にてこのようなことを述べています。

人間とは、ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)である。
遊びは文化に先行し、人類が育んだ文化はすべて遊びの中から生まれた。つまり、遊びこそが人間活動の本質である。

しかし、大人になった私たちは「遊んで」いるでしょうか?平日の仕事で疲れ切った体と頭を癒すために、漠然とお金と時間を消費して休日を終えてしまうことも少なくないのではないでしょうか?

スポーツであったり、旅であったり、物作りであったり……小さなころに夢中になったような「自分のやりたいこと」は一体何であったのか……それを見つめ直し、チャレンジする場を持つことは、人生を豊かにする上で大切なことです。

この「がっこう」での「あそぶ」過程を通して、気力や体力が養われ、豊かな創造力が育まれ、利害関係のない幅広い人間関係が構築されることでしょう。

3つ目は「たべる」ことです。

「食べること」は「生きること」に直結しています。しかしながら、現代社会は「こしょく」の時代と言われています。
孤食:一人で食べる
個食:家族が各々違う食事をとる
固食:自分の好物しか食べない(固定化された食生活)

これでは、社会性や協調性は育たず、栄養バランスも偏ってしまいます。食生活の乱れは身体的にも精神的にも大きな影響を及ぼします。

今、「食育」の環を広げる活動が全国各地で広がっています。生産現場に触れる、食料自給率について学ぶ、食品ロスについて考える……まさに「自分の口に入れるもの」について、真摯に向き合う時期に差し掛かっています。


けんじお兄さんは、これまで、講演会や「教員ごはんの会」というイベントで「食べること」を取り入れてきました。食事をしながら交流する時間を設けると、明らかにお互いの心が打ち解け、会話も弾みました。

「たべる」ことは他者とのコミュニケーションを円滑にします。この「がっこう」で「たべる」を学ぶことは、これらの「こしょく」を解決する一助になることでしょう。

さて、この3本柱「はたらく」「あそぶ」「たべる」を「おしえる」先生は一体どのような人物なのでしょうか?

 

ここに「おしえるがっこう」の独自性があります。
なんと、この「がっこう」の先生達は、教えるために「お金を払っている」のです。

通常、先生は「教える」対価として、お金を受け取ります。この学校はその真逆なのです。
これにより、どんなメリットがあるのでしょうか?

まず大きなメリットは「学生が無料で授業を受講できる」ということです。これにより、学生は気軽に好きな授業を好きなだけ受講することができます。

次に「先生の質が担保される」ということです。
通常の学校で見られるような「これだけの給料では、割りが合わないから、授業はこれくらいでいいか……」そんな考えの先生は1人もいないということです。

会社経営者であったり、カリスマブロガーであったり、DIYの達人であったり……皆、様々な分野で活躍し、情熱を持って「教えたいこと」があります。「お金を払ってでも、本気で人に教えたい」ことがある方が先生になる条件なのです。

また「おしえる」ことは、自身の知識と経験を振り返り、整理し、相手に伝える行為です。「100回の稽古より1回の本番」という言葉がありますが、自分の世界の中だけで、真面目に仕事をしていても、やがて限界がやってきます。

その限界を突破するためには、1回の本番を踏む必要があります。緊張感を持って、他者の前で自身を表現し、フィードバックを受ける機会を持つことの重要性を理解している者が、この「がっこう」の先生なのです。

そんな熱意のある先生のもとに集う生徒たち……同じ空間を共にし、お互いに意見を出し合い、温かい交流を深める中で、新たな気づきや結びつきが生まれることでしょう。

「おしえるがっこう」に秘められた可能性に、大きな期待を抱いています🌸

【今回の記事を書いてくださった方のご紹介🌸】

松岡敦子さま✨

 

《過去の略歴》

Benesse

LCA国際小学校

Kingham Hill School(イギリスの中高一貫校)

 

表現教育への深い愛情と人情に溢れた

とってもステキな方です^_^✨

☆以前、この記事を書いてくださった方でもあります!

*「けんじお兄さん」について知りたいかたはこちら